🇪🇸スペイン語の間接話法と時制の一致ルール:会話と伝達の核心
スペイン語の間接話法(Estilo indirecto)は、誰かの発言、質問、命令などを第三者に伝達する際に使用される文法形式です。間接話法を用いる際、主節(伝達動詞がある部分)の時制に応じて、伝えられる内容(従属節)の時制が変化するルールがあり、これを「時制の一致」と呼びます。
このルールを理解することは、自然で正確なスペイン語を話す上で非常に重要です。
1. 間接話法の基本的な構造
間接話法は、主に伝達動詞(decir、preguntar、explicar、contar など)を用いて構成されます。
📌構造の例
| 種類 | 構造 | 日本語訳 |
| 平叙文 | [主節の動詞] + que + [従属節の文] | 彼女は「〜だ」と言った。 |
| 疑問文 | [主節の動詞] + si / qué / dónde + [従属節の文] | 彼は「〜かどうか」尋ねた。 |
2. 時制の一致(Concordancia de los Tiempos)の核心ルール
時制の一致ルールは、主節の伝達動詞の時制が、従属節の時制に影響を与えるというものです。
規則①:主節が「現在形」または「未来形」の場合
主節の動詞が現在形、未来形、または現在完了など現在に関連する時制である場合、従属節の時制は変わりません。
| 直接話法 | 間接話法 | 日本語訳 |
| (Ella dice): "Tengo mucho trabajo." (現在) | Ella dice que tiene mucho trabajo. | 彼女は「仕事が多い」と言っている。 |
| (Él dice): "¿Vas a venir?" (現在) | Él me pregunta si voy a venir. | 彼は私に「来るのか」と尋ねる。 |
規則②:主節が「過去形」(点過去・線過去)の場合
主節の動詞が過去の時制(点過去や線過去)である場合、従属節の時制は時制の移行(変化)が起こります。
| 直接話法 (現在/未来) | 伝達動詞 (過去) | 間接話法での変化 (従属節) | 意味 |
| Presente (現在) | Dijo... | → Imperfecto (線過去) | 〜だと言った |
| Pretérito Perfecto (現在完了) | Dijo... | → Pretérito Pluscuamperfecto (過去完了) | 〜したと言った |
| Pretérito Indefinido (点過去) | Dijo... | → Pretérito Pluscuamperfecto (過去完了) | 〜したと言った |
| Futuro Simple (単純未来) | Dijo... | → Condicional Simple (過去未来) | 〜するだろうと言った |
| Condicional Simple (過去未来) | Dijo... | → No Cambia (変化なし) | 〜するだろうと言った |
3. 時制の一致の具体的な変化と例文
過去の伝達動詞(Dijo: 彼は言った)を使った時の主な時制変化を見てみましょう。
1. 現在形 → 線過去
直接話法で「今のこと」や「習慣」を表す現在形は、間接話法では過去のある時点の状況を表す線過去に変わります。
| 直接話法 | 間接話法 | 日本語訳 |
| (Directo): "Estoy cansado." (現在) | (Indirecto): Dijo que estaba cansado. (線過去) | 彼は「疲れている」と言った。 |
2. 点過去/現在完了 → 過去完了
直接話法で「過去に完了した出来事」を表す点過去や現在完了は、伝達した時点よりもさらに過去の出来事を示す過去完了に変わります。
| 直接話法 | 間接話法 | 日本語訳 |
| (Directo): "Compré un coche." (点過去) | (Indirecto): Me dijo que había comprado un coche. (過去完了) | 彼は私に「車を買った」と言った。 |
3. 単純未来 → 過去未来(コンドゥシォナル・シンプレ)
直接話法で「未来の行動」を表す単純未来は、過去の視点から見た未来を示す過去未来に変わります。
| 直接話法 | 間接話法 | 日本語訳 |
| (Directo): "Viajaré a Japón." (単純未来) | (Indirecto): Dijo que viajaría a Japón. (過去未来) | 彼女は「日本へ旅行するだろう」と言った。 |
4. 疑問文・命令文の間接話法
1. 疑問文の間接話法
疑問詞(qué, dónde, cuándo など)がない場合は接続詞 si (〜かどうか)を用い、疑問詞がある場合はその疑問詞をそのまま使って伝えます。
| 直接話法 (疑問文) | 間接話法 (動詞の変化に注意) | 日本語訳 |
| (Directo): "¿Vienes mañana?" (現在) | (Indirecto): Me preguntó si venía al día siguiente. (線過去) | 彼は私に「明日来るか」と尋ねた。 |
| (Directo): "¿Qué compraste?" (点過去) | (Indirecto): Preguntó qué había comprado. (過去完了) | 彼女は「何を買ったのか」と尋ねた。 |
2. 命令文の間接話法
命令を伝える場合は、通常、伝達動詞に接続法(Subjuntivo)を用います。伝達動詞には pedir (頼む)、ordenar (命令する)などが使われます。
| 直接話法 (命令文) | 間接話法 (接続法) | 日本語訳 |
| (Directo): "¡Cállate!" (黙れ!) | (Indirecto): Me pidió que me callara. (線過去接続法) | 彼は私に「黙るように」頼んだ。 |
| (Directo): "No salgas." (出るな。) | (Indirecto): Nos dijo que no saliéramos. (線過去接続法) | 彼は私たちに「出かけないように」言った。 |