スペイン語の「行く・来る」は要注意!irとvenirの決定的な違いとネイティブ流の使い分け
「今、そっちに行くよ!」と伝えたいとき、あなたならどう言いますか?
日本語の感覚でそのまま訳そうとすると、スペイン語では全く逆の意味になってしまい、相手を混乱させてしまうかもしれません。
スペイン語学習者が必ずと言っていいほど直面する高い壁、それが**「ir(行く)」と「venir(来る)」の使い分け**です。日本語の「行く・来る」とは視点の置き方が根本的に異なるため、単なる翻訳では太刀打ちできないルールが存在します。
この記事では、ネイティブスピーカーが頭の中でどのようにこの2つの動詞を使い分けているのか、その決定的な違いを具体例とともに詳しく解説します。この記事を読めば、もう二度と「ir」と「venir」で迷うことはなくなります。
1. 結論:スペイン語は「話し手」の場所が基準!
日本語の「行く・来る」は、聞き手の立場に立って言葉を選ぶことが多いですが、スペイン語は**「今、話し手がどこにいるか」**が最大のポイントになります。
ir:話し手がいる場所から「離れていく」動き
venir:話し手がいる場所へ「近づいてくる」動き
この大原則を念頭に置いて、具体的なシチュエーションを見ていきましょう。
2. 動詞「ir」の役割:自分から離れる移動
「ir」の基本イメージは「ここではないどこかへ向かう」ことです。
自分が目的地へ向かう
今自分がいない場所に移動する場合は、すべて「ir」を使います。
Voy al supermercado. (私はスーパーに行きます。)
¿Vas a la fiesta esta noche? (今夜のパーティーに行く?)
聞き手と一緒にどこかへ行く
話し手と聞き手が、今とは別の場所へ移動する場合も「ir」です。
¡Vamos al cine! (映画館に行こう!)
3. 動詞「venir」の役割:自分の場所への接近
「venir」の基本イメージは「話し手が今いる場所に、誰かがやってくる」ことです。
自分のいる場所へ誰かが来る
¿Vienes a mi casa? (私の家に来る?)
Mi amigo viene a Japón mañana. (明日、友達が日本に来ます。)
自分が相手のいる場所へ行く(要注意!)
ここが日本語と最も違う、最大の間違いポイントです。
例えば、友達の家で開かれているパーティーに「今から行くよ!」と電話で伝える場合、日本語では「行く」を使いますが、スペイン語では**「相手(聞き手)のいる場所に近づく」ため、「venir」**を使うのが自然です。
× Voy. (今、ここからどこかへ行くよ。※相手の場所ではないどこかへ行くニュアンス)
○ Ya vengo. / Ya voy para allá. (今行くよ。※相手の場所へ向かう)
ネイティブは、相手が待っている場所に向かうときは「自分がそこに参加しに行く(近づく)」という意識で「venir」や、方向を示す「ir para allá」を選択します。
4. 視覚で理解する!「ir」と「venir」の使い分け表
| 状況 | 日本語 | スペイン語 | 理由 |
| 今いない場所へ向かう | 行く | ir | 現在地から離れるため |
| 自分のいる場所に誰かが来る | 来る | venir | 現在地に近づくため |
| 相手がいる場所に自分が行く | 行く | venir | 相手という基準に近づくため |
| 誰かと一緒に別の場所へ行く | 行く | ir | 二人で現在地から離れるため |
5. 似ているけれど違う!「llevar」と「traer」の使い分け
「行く・来る」の混乱をさらに加速させるのが、「持っていく・持ってくる」を表す llevar と traer です。これも「ir/venir」と全く同じルールで使い分けます。
llevar (ir型):ここからあっちへ持っていく
Llevo una pizza a la fiesta. (パーティーにピザを持っていくね。※自分はまだパーティー会場にいない)
traer (venir型):あっちからここへ持ってくる(あるいは相手のいる場所へ持っていく)
¿Puedes traer una cerveza? (ビールを持ってきてくれる?※私がいる場所へ)
6. 実践!間違いやすい日常フレーズ集
待ち合わせで「今向かってるよ!」
Ya voy. (今行くよ!)
※直訳は「私は行く」ですが、慣用的に「今向かっている」という意味で使われます。ただし、相手の家などに「到着する」というニュアンスを強めるなら 「Ya llego」 や 「Estoy yendo」 もよく使われます。
「一緒に来る?」と誘うとき
自分がこれからどこかへ行く際に、相手を誘う場合はどうでしょうか。
Voy al concierto. ¿Vienes? (コンサートに行くんだ。君も来る?)
自分が目的地(コンサート会場)にいることを想定して誘うため、相手に対しては「venir」を使います。
7. まとめ:迷ったら「カメラの位置」を想像しよう
スペイン語の「ir」と「venir」を使い分けるコツは、頭の中にカメラを置くことです。
カメラが自分の今いる場所にあるなら:そこから離れるのは「ir」、近づくのは「venir」。
会話の焦点が「相手のいる場所」にあるなら:そこへ向かう自分は、相手のカメラに近づいているので「venir」。
最初は戸惑うかもしれませんが、ネイティブの視点に慣れてくると、空間の捉え方がスペイン語的にアップデートされていきます。
まずは、友達との待ち合わせや、家への帰宅シーンなど、身近な移動をスペイン語で実況中継することから始めてみてください。使い分けができるようになれば、あなたのスペイン語は一気に自然でこなれたものになります。
「ir」と「venir」を完璧にマスターして、スムーズなコミュニケーションを楽しみましょう!
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