金の柔らかさを補う合金技術|ジュエリー・産業利用での最新動向と強度アップの秘訣
はじめに
金(ゴールド)はその美しい輝きと耐食性から、ジュエリーや投資対象として広く利用されています。しかし、純金(24K)は非常に柔らかく、傷がつきやすい・変形しやすいという欠点があります。
そこで活用されるのが「合金技術」です。金に他の金属を混ぜることで、強度や耐久性を高め、ジュエリーや産業分野で実用的に使える金へと進化させることができます。
本記事では、金の柔らかさを補うための代表的な合金技術と、その最新動向をわかりやすく解説します。
1. 金が柔らかい理由
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結晶構造:純金は原子が規則正しく並び、変形しやすい性質を持つ
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延性・展性:1gの金を1km以上の細線に伸ばせるほど柔らかい
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硬度の低さ:モース硬度で約2.5~3程度、爪でも跡がつくレベル
👉 このため、純金は投資用地金や美術品には適しているものの、日常的なジュエリーや工業製品には不向きです。
2. 合金による強度アップの仕組み
金に他の金属を混ぜることで、原子構造の「すべり」を妨げ、硬度や耐久性が向上します。
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固溶強化:異なる金属の原子が混ざり合い、変形を抑える
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析出強化:合金中に微細な粒子が生成され、強度が増す
3. 代表的な金合金の種類
① イエローゴールド(Au+銀+銅)
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銀と銅を加えて、強度と色のバランスを取る
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ブライダルリングやネックレスで最も一般的
② ホワイトゴールド(Au+ニッケル or パラジウム)
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プラチナに似た白色を再現
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硬度が高く、変形に強い
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表面にロジウムコーティングを施し、さらに耐久性アップ
③ ピンクゴールド(Au+銅+銀)
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銅を多めに加えることで赤みが強調される
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温かみのある色合いと耐久性を両立
④ グリーンゴールド(Au+銀+カドミウム)
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銀を多く含み、淡い緑色を帯びる
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装飾用途として希少性が高い
⑤ 工業用金合金
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金+パラジウムや金+ニッケルを利用し、電子部品・半導体接点に活用
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耐腐食性と導電性を兼ね備える
4. 最新の合金技術トレンド
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アレルギーフリー合金:ニッケルを使わず、パラジウムやプラチナを加える
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ナノ結晶化合金:粒子を微細化し、硬度を大幅に向上
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リサイクル金合金:SDGsの観点から、再生金属を利用した合金技術に注目
5. 金合金の選び方のポイント
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用途で選ぶ
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ジュエリー:18K(強度と美しさのバランス)
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工業製品:14K以下の硬度重視タイプ
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アレルギー対策
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ニッケルを含む合金は金属アレルギーの原因になる場合があるため注意
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メンテナンス性
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コーティング仕上げは劣化するため、定期的なメンテナンスが必要
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まとめ
金はそのままでは柔らかすぎるため、銀・銅・パラジウム・ニッケルなどを加える合金技術によって強度を高めています。
最新技術では、ナノ結晶化やリサイクル合金といった環境配慮型の技術も進化中。
ジュエリー選びや工業利用において、合金技術を理解しておくことは、長く価値を保つための大切な知識です。